2019年2月 第434号 「金持ちの男」

イエスが旅に出ようとされると、ある人が走り寄って、ひざまずいて尋ねた。「善い先生、永遠の命を受け継ぐには、何をすればよいでしょうか」。(マルコによる福音書10章17節)

 

ある人とは青年であり(マタイ19章)、ユダヤの議員(ルカ18章)です。つまり、彼は身分も立場もあり裕福な人です。しかし、彼の心は満たされていなかったのです。だから、彼はイエス様の元へ来ました。

「走り寄って」、「ひざまずいて」、「善い先生」とは、彼がイエス様を信じ尊敬していたことを表しています。

彼は死後のことが心配でした。だから「永遠の命を受け継ぐには、何をすれば良いでしょうか」と尋ねます。するとイエス様は会話のかみ合わない返事、モーセの十戒の五戒から十戒を行うようにと言われ、さらに、彼の財産をお金に換えて貧しい人々に施すようにと言われました。

それに対し彼は、「律法はみな、子どもの時から守っています」と答えました。

イエス様は決して彼に貧しい人々のために自分を犠牲にして無一物になれと言われたのではありません。人の心を見られる主は、自己義を主張する彼の傲慢を見抜かれて、律法の心である「愛」を実行するようにと戒められたのです。しかし、彼は「悲しみながら立ち去った」のです。彼は主イエス様に求めた「永遠の命」を得ることができませんでした(10章17~22参照)。

永遠の命とは、人間の努力や修業によって得られるものではありません。「唯一のまことの神とその御子であるイエス・キリストを信じる」ことで与えられるのです(ヨハネ17・3参照)。