2017年11月 第419号 「もう泣かなくともよい」
主はこの母親を見て、憐れに思い、「もう泣かなくともよい」と言われた。そして、近づいて棺に手を触れられると、担いでいる人たちは立ち止まった。イエスは、「若者よ、あなたに言う。起きなさい」と言われた。(ルカによる福音書7章13-14節)
その母親はやもめ
喜びに満ちてイエス様に従う群と嘆き悲しむ葬列の出合い、人生の縮図です。この母親は夫に先立たれ、頼りにしていた一人息子をも亡くしたのです。そのころ、やもめが生きてゆくのはとても大変なことでした。彼女はすべてを失い、自分も死にたいくらい絶望のどん底にいました。その時、イエス様が声をかけられたのです。
もう泣かなくともよい
イエス様は彼女を見て、憐れに思い(単なる同情ではなく、彼女の悲痛を共感し、断腸の思いをもって)、「もう泣かなくともよい」と言われました。この言葉は、イエス様が彼女に対して無限の愛をもって、彼女の苦悩の原因を解決してあげるという宣言です。それは、汚れるから触れてはいけないという律法を犯して、あえて棺に触れられたことをみても分かります。
若者よ、あなたに言う
イエス様は、棺に向かって「若者よ、あなたに言う。起きなさい」と命令し、一人息子を生き返らせて、母親にお返しになりました(同15節)。
イエス様は、神の御子としてのご栄光を現し、やもめの母親に言われたことを実現してくださったのです。
それを見た群衆は「神はその民を心にかけて(顧みて)くださった」と言って神を賛美しました(同16節)。この喜びを私たちも体験できます。