2015年8月 第392号 「わたしに命令して」

ペトロが答えた。「主よ、あなたでしたら、わたしに命令して、水の上を歩いてそちらに行かせてください。」イエスが「来なさい」と言われたので…。(マタイによる福音書14章28-29節)

 

暴風に荒れるガリラヤ湖の波の上を歩かれる方がイエス様だと分かって興奮したペトロは、「わたしに命令して」と自分の方から、イエス様の招きを求めています。なぜでしょうか。それは「主よ、あなたでしたら」と告白しているように、ペトロはイエス様がお命じになったら、必ずそのとおりになる。イエス様が「来なさい」と命じたら、自分も波の上を歩くことができると信じていたからです。

さて、あなたはイエス様が「来なさい」と招いてくださるのをじっと待つのではなく、ペトロのように「わたしに命じて」と言えるほどの信仰がありますか。「もっと主のもとに近づきたい」、「主の奇跡を体験したい」、「主の働きに参加したい」というような強い思いが有るでしょうか。

しかし、そのような熱い思いをもっていたペトロでさえも、イエス様から目を離し、目の前の現実を見たため波に飲まれそうになりました。でもイエス様が助けてくださり、事無きを得ました(同30、31節)。

イエス様はペトロの信仰も不信仰も、主に従いたいという熱い思いも、従え切れないという弱さも、両方ご存じです。すべてを承知した上で「来なさい」と招かれたのです。イエス様は、一旦召した者を、決して見捨てることなく、助け導いてくださいます。「神の賜物と招きとは取り消されないものなのです」(ローマ11・29)。何と感謝なことか。