2014年9月 第381号 「神のもの皇帝のもの」
イエスは言われた。「皇帝のものは皇帝に、神のものは神に返しなさい。」彼らは、イエスの答えに驚き入った。(マルコによる福音書12章17節)
このイエス様の言葉は、当時のユダヤの指導者たちが、イエス様の言葉じりをとらえて陥れようとして「ローマ皇帝に税金を納めるのは、律法(ユダヤのおきて)に適っているか、いないか、納めるべきか、納めなくてはならないか」(同14節)との質問に答えられた言葉です。これは彼らのわなでした。
もし、「納めてもよい」と答えたなら、彼らやユダヤ教徒たちに激しく反発され、民衆のイエス様に対する人気も下る。逆に「納めなくてもよい」と答えたなら、ローマ政府に対する反逆罪として訴えられる。
私たちは二重の統治を受けています。それは「神の国」と「この世の国」の統治を同時に受けているからです。だから、信仰生活を過す中で、当然この二つが衝突することもあります。しかし、私たちはどちらも軽んじてはなりません。神の国のおきてに従って生きてはいますが、この世の中で生きている者として、世と壁を作ることなく、「世の光」、「地の塩」として正しく生きてゆかなければならないのです。
このイエス様の答えに、彼らは驚きましたが、残念なことに、彼らの態度は変わりませんでした。
クリスチャンは、神の国に国籍を持つ聖徒として、この世の国の権力に対しては適切な行動をとるようにイエス様は教えられたのです。「人は皆、上に立つ権威に従うべきです。神に由来しない権威はなく、今ある権威はすべて神によって立てられたものだからです」(ローマ13章1節)。